マックス・U-18大賞
マックス・U-18大賞 < 高校生の部 >
とまとちゃんさん(福岡県 / 17歳)

私には歳の離れたかわいい弟がいる。今年の春に晴れて一年生となった彼は、ある日の学校帰りに、「おねえちゃん、かんじおしえて」と駆け寄ってきた。なんと、自分の名前を漢字で書きたいのだと言う。
周りのお友達が漢字で書いているという訳でもなく、ただ書けるようになりたかったらしい。私は書き順から丁寧に教えてあげた。
私の書いたお手本の字を一生懸命真似をして書く様子を、ただただ見守っていた。
「できた!」そう元気よく見せてくれた弟の名前は、不格好だけど、力いっぱいで元気にあふれている。「へぇ。上手に書けたね」と言うと、はじけそうな笑顔を見せた。
もう一度、不格好な名前を見つめる。兄弟だから、名字が同じなのは当たり前。いつも書いているはずなのに、なんでこんなに違ってみえるんだろう。私もこんな風に大切に大切に名前を書いてあげたいな。見つめるほど胸がじぃんと熱くなるのを感じた。
マックス・U-18大賞 < 中学生の部 >
お豆さん(埼玉県 / 14歳)

私は体育が大嫌いだ。
「壁倒立はじめ!!」
先生の号令で、私の胃腸が暴れだす。緊張でお腹が痛くなる。
人間は逆さになるべきではない。つくづく私はそう思う。この腹痛が何よりの証拠だ。
壁倒立を含めた準備運動が終わり、次は地獄のマット運動の時間だ。開脚前転・開脚後転・側方倒立回転・倒立前転・水平バランス。開脚後転、水平バランスはできるが倒立前転はできない。できっこない。もはや命の危険を感じる。小学生の頃は必修ではなかった。しかし、中学生になった今では必ず全員行わなくてはいけない。
次だ…。両隣には倒立前転を補助してくれる友達がいる。だが、いざマットを前にすると足がすくむ。
「無理だよ…。」
心の底から出た声だった。後ろにはマットの順番を待っている人がいる。周りの人々もこちらを見ている。罪悪感と緊張に挟まれ、つぶれそうになった時。
「私たちが支える!!」
声が響いた。顔を上げると補助の二人が腕を組んで立っていた。二人は真っすぐ私を見つめた。
その姿はまるで仁王像のようにとても力強く思えた。
「や、やる。やってみる。」
そんな二人の姿を見て、背中を押された私はマットの前に立った。
「ダンッ。」
「コロッ。」
「…。」
「できたあぁぁぁ!!!!」
気づけば周りで見ていた人たちと一緒に歓喜の声を上げていた。人生で初めて倒立前転ができた瞬間だった。
私はこの時、この成功体験と友達との絆はずっと心にとめておこうと思った。
マックス・U-18大賞 < 小学生以下の部 >
なかなかさん(大阪府 / 10歳)

学校の帰り道、ランドセルが重かった。
教科書が多かったわけじゃない。
朝、お母さんとケンカしてきたからだ。
「行ってきます」も言わずに出ていった。
ずっとモヤモヤしてて家に帰るのが嫌だった。でも、家に帰ると、キッチンからカレーの匂いがした。僕の大好きなカレーの匂い。
リビングには、お母さんがいて、
「おかえりなさい」と言って笑った。
ぼくの心の中で、何かがポンッと音を立ててはじけた。
「…ごめん、ありがとう」
そう言ったらお母さんが「いいのよ」と言ってくれた。
カレーはちょっと辛かったけどおいしかった。あの日の「ありがとう」は、ずっと心にとめておきたい言葉だ。








