マックス・U-18大賞
マックス・U-18大賞 < 高校生の部 >
ひなぴーさん(三重県 / 17歳)
私のお父さんは、仕事が終わると、よく帰り道にケーキやアイスを買ってきてくれる。私や妹やお母さんの分だけ買ってきて、いつも自分の分は買っていないから、私と妹から一口ずつあげるのが普通になっていた。どうして自分の分を買ってこないのかと聞くと、「いらんから買わんだけや」と言う。
けれども私は知っている。夜中、お父さんが「今日も一口くれたで、俺に」と、嬉しそうな声でお母さんに報告していたこと。「うちには、ええ子が二人産まれてきてくれたなあ」。漏れ聞こえてきたお母さんの言葉を私は一生忘れないだろう。
今日もお父さんは帰ってくるだろうか。一つ足りないお菓子の入った箱を抱えて。
マックス・U-18大賞 < 中学生の部 >
佐田 この実さん(岡山県 / 13歳)
ああ。やっと今日が来た。あっという間だったなあ。そんなことを考えながら、朝のしたくをする。今日は第一志望の中学校の入試だ。きんちょうで胸がドキドキする。落ちたらどうしよう。不安でしかたなかった。ふと母にそのことを話した時だった。母は話しはじめた。
「そんなこと気にする必要はないって。そういえば、あんたが6年生になって急に受験したいって言い出した時は正直びっくりしたわ。けど、あんたが頑張るって言うなら応援したいと思ってすぐに塾を探したのよ。夏期講習なんか朝早くから夕方までみっちり勉強しておまけに、夜中まで宿題して。あんたがこんなに1つのことを頑張れるなんか母さん思ってなかった。本当にびっくりよ。みんなは夏休み遊んでるのに、テレビも何にも見ずに本当によく頑張ったわ。えらい。でもね。大変だったのよ。母さんは弁当作って、父さんは迎えに行って、姉ちゃんは家事手伝ってくれて、弟は何も言わずに送り迎えの時、お留守番しててくれて。あんた、感謝しなさいよー。みんなが支えてくれてんだから。みんなの支えがあってこそのあんたの努力なんだよ。でも、あんたはよく頑張った。努力が実を結ぶ時だよ。思いっきり頑張っといで。」
家族への恩返しのためにも、頑張るんだとやる気が出てきた。結果は見事合格。涙が出た。私はその時思った。この中学受験で私は支えてくれて、応援してくれる家族の大切さや、努力をあきらめないですることの大切さを学んだと。これから、支えてくれる人、応援してくれる人に心から感謝し、努力を惜しまないようにしたい。私の中学受験は大切なことに気づかされたものであった。
マックス・U-18大賞 < 小学生以下の部 >
よしせ ましろさん(大阪府 / 9歳)
ドキドキしながら、合格けいじ板を見に行った。ようち園から仲良しで、一緒にピアノを習っている友だちと手をつないで、走って行った。けれど、ピアノコンクール本せん合格者と、目にとびこんで、来たのは、私の名前だけだった。友だちの名前がない……。自分が合格したうれしさと同時にとなりにいる友だちに何て声をかけたらいいかわからず、私はだまってしまった。そのしゅん間、友だちが、
「すごい!おめでとう!」
と言ってくれた。きっとくやしかったはずなのに、私の合格をよろこんでくれたのだ。私はとてもうれしくなった。そして、
「かならず本大会のおうえんに行くから、がんばってね!」
と言ってくれた。その、やく束通り、本大会にプレゼントを持って来てくれた。
そんな友だちがいて、私は幸せだ。いつかぎゃくのたちばになったらかならず、そうしてあげたい。