食品表示の落とし穴とは?テイクアウト・物販における実務で注意すべき5つのポイント

飲食店がテイクアウトや店頭での物販事業、あるいはECサイトでの販売を始める際、頭を悩ませるのが「食品表示法」への適合です。
食品表示とは、食品の販売をする者が、その食品に表示すべき名称や保存方法、消費期限、原材料、添加物などの事項を記載したものを指します。
本記事では、現在施行されている最新の食品表示基準に基づき、事業者が特に陥りやすい表示のNG例と、実務で即実践できる正しい対処法を5つのポイントに絞って詳しく解説します。
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食品表示とは
食品表示とは、食品のパッケージ(容器包装)に記載される、名称、原材料、添加物、内容量、期限、保存方法、製造者などの情報を指します。
これは単なる「情報の羅列」ではなく、消費者が「食べて安全か」「保存方法は適切か」等を判断するための重要な公的証明ともいえます。そのため、食品表示法、食品衛生法、健康増進法などが一元化された「食品表示基準」という厳格なルールに従って記載することが義務付けられています。
食品表示ミスが露呈すると、まずは行政(消費者庁や保健所など)から、是正のための指導が入ります。その内容が消費者庁のウェブサイト等で公表される場合もあるため、適切な対応が求められます。
また、2021年の法改正以降、食品表示に関する自主回収(リコール)を行った場合は、消費者庁への報告が義務付けられています。
なお、表示内容によっては法令に基づく対応が求められる場合もあるため、日頃から正確な表示を心がけることが大切です。
食品表示ラベルに記載する基本項目などについては、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:食品表示ラベルの作り方ガイド|必要な記載項目から作成手順まで解説
食品表示の「義務が生じる販売形態」の再確認
食品表示ラベルの要否は、実は「対面販売かどうか」と「あらかじめ包装されているか」で決まります。
以下2つのケースについて解説します。
表示が必要な場合
一般的に以下のケースでは法律に基づく食品表示が必須となります。
- 陳列販売:あらかじめ容器包装に入れられた状態で、店舗や陳列棚に並べて販売する場合(いわゆる「作り置き」)
- 通信販売:インターネット等を通じて販売する場合
- 卸売り:他店や道の駅などに商品を卸して販売する場合
注意点として、スーパーやコンビニのように「お客様が商品を手に取って選ぶ(セルフサービス)」形式で陳列する場合は、表示義務が生じます。
表示が不要な場合
一方で、以下のように「その場で調理・提供」する対面販売を想定したケースでは、表示(ラベル貼付)を省略できる場合があります。
- 量り売り:注文を受けてから容器に詰める場合
- レストラン内での食事(外食):設備を設けて飲食させる場合
- テイクアウト:注文を受けてから調理し、その場で容器に入れて手渡す場合(あらかじめ包装して陳列しないケース)
対面販売店のカウンター内などで、ピーク時の混雑に備えてあらかじめパック詰めしておく場合があります。この際、店員が直接手渡すスタイルであれば「対面販売」とみなされ、表示が免除されるケースもあります。
ただし、具体的な運用ルールは自治体によって判断が分かれることもあるため、自社販売スタイルがどちらに該当するのか、確認の徹底を行いましょう。
「名称」欄と「商品名」の混同
食品表示ラベルを作る際、一括表示ラベルの「名称」欄には、その食品の内容を表す「一般的な名称」を記載する決まりがあります。つまり、販売用の商品名をそのまま記載することは適切ではありません。
ラベルを作る際は、「法的名称(食品表示基準で定められた名称)」を記載する場所と、「独自の商品名」を表示する場所を明確に分けましょう。
商品名はパッケージの目立つ場所に、法的名称は一括表示枠の中に正しく記載します。
不適切な記載例
以下は、不適切なラベル記載例です。
- 「店長こだわりの特製ジューシー唐揚げ」
- 「東京名物・秘伝スパイスカレー」
- 「じっくり煮込んだ野菜スープの素」
これらは「独自の商品名」となるため、「名称」欄には記載できません。
適切な記載例
以下は、適切とされるラベル記載例です。
- 「そうざい」または「鶏の唐揚げ」
- 「弁当」または「幕の内弁当」
- 「菓子」または「焼き菓子」
パッケージの表面には独自の「商品名」を書き、裏面などの一括表示枠内にある「名称」欄には、法律上の正しい「一般的名称」を記載するように使い分けましょう。
原材料名の「記載順序」と「添加物の区分」
食品のパッケージにおいて、原材料名の欄はお客様が最も信頼を寄せる情報の一つです。
現在は、すべての加工食品において新しい表示ルールへの対応が求められています。改めて、大切な3つのポイントを整理しましょう。
- 1.重量順の原則
- 原材料は、製品に含まれる重量の割合が高いものから順に記載します。お客様にとって「何が主成分なのか」がひと目で伝わるようにするためです。
- 2.「原材料」と「添加物」を明確に分ける
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現在は、原材料と添加物を明確に区別して記載することが義務付けられています。主な区別方法は以下の通りです。
- スラッシュ(/)を活用する:原材料と添加物の間に「/」を入れて区切る方法です
- 改行や見出しを活用する:改行して「添加物」という見出しを付けたり、添加物だけの専用の欄を設けたりして明確にします
- 3.「原料原産地」の表示(すべての加工食品が対象)
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一般加工食品においては、最も重量割合が高い「原材料」の産地を表示する必要があります。
- 対象:製品の中で最も多く使われている原材料です
- 表示方法:その原材料の後にカッコ書きで産地(国名や都道府県名)を記載します
- 加工品が主原料の場合:その原材料の「製造地」を表示します【例:小麦粉(国内製造)】
詳細なルールや例外規定については、東京都の資料も併せて活用し、正確な表示を心がけましょう。
- ※出典:食品衛生の窓(東京都保健医療局)
正しい記載例
原材料名の「記載順序」と「添加物の区分」における記載例を紹介します。
- 記載例1.「/(スラッシュ)」で区切る場合
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原材料名:ブルーベリー(カナダ産)、砂糖/ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC)
※「/」以降が食品添加物となります。
- 記載例2.改行して表示する場合
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原材料名:鶏肉(ブラジル産)、玉葱、砂糖、食塩、卵たん白、植物性たん白、香辛料
リン酸塩(Na)、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)、コチニール色素※改行後の「リン酸塩(Na)」からが添加物であることを示しています。
その他、原材料と添加物を別欄に表示する方法もあります。いずれにせよ、法律のルールに則り正しい記載が必須となります。
アレルギー表示は安全確保の観点から重要な表示項目
食品表示の中で、お客様が特に注意深く確認されるのがアレルギー表示です。正確な表示を行うことは、アレルギーを持つお客様の健康を守るだけでなく、お店に対する大きな信頼へと繋がります。
以下、具体的に解説します。
特定原材料(義務表示)
令和8年4月時点、表示が義務付けられている「特定原材料」は以下の9品目です。
えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
特に「くるみ」については、令和7年4月より完全義務化されており、現在はすべての食品において表示が必須となっています。
また、上記の表示義務とは別に、「特定原材料に準ずるもの」として、以下20品目があります。
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
なお、令和8年4月1日付け法改正により、義務表示に「カシューナッツ」が追加され、推奨表示に「ピスタチオ」が追加されております。
令和6年3月28日付法改正により、推奨表示(特定原材料に準ずるもの)に「マカダミアナッツ」が追加され、一方で「まつたけ」が削除されるなど、品目には定期的な見直しが行われています。
表記のルール
先述の原材料表示ルールをふまえ、以下表記ルールを2つに絞って掘り下げていきます。
- アレルゲンの表示方法
「乳」のアレルギー表示は、「乳成分を含む」と表記する必要があります。かつては「乳」という一文字の表記も認められていましたが、現在は消費者の誤認防止と分かりやすさの観点から、「乳成分」という言葉を使って表示することが義務付けられています。 - 個別表示の原則
個別の原材料の直後に、カッコ書きで記載します(例:マヨネーズ(卵を含む))。
複数原材料などに同一のアレルゲンが含まれる場合、いずれかに特定原材料等を含むか、由来する旨を表示すれば事足ります。
なお、原材料メーカーの規格変更により、アレルゲン情報が変わることもあります。適切な食品表示ラベルを表示するために、定期的に規格書の確認を行いましょう。
保存方法と期限表示は「具体的」に
「保存方法」や「消費期限・賞味期限」の記載は、具体的かつ消費者が誤認しない方法で行う必要があります。
以下、「保存方法」、「期限表示の場所」についてそれぞれ解説します。
保存方法
「保存方法」や「消費期限・賞味期限」は、お客様が購入した商品を最後まで美味しく、安全に楽しんでいただくための大切なガイドです。曖昧な表現を避け、どなたが見ても分かりやすい具体的な記載を心がけましょう。
保存方法の書き方
常温保存の場合:「常温」という言葉は、季節や場所によって捉え方が異なるため、「直射日光、高温多湿の場所を避けて保存してください」のように、具体的な環境を記載します。
冷蔵保存の場合:単に「冷蔵」とするのではなく、「10℃以下で保存してください(要冷蔵)」のように、具体的な温度帯を明記することが求められます。
「お早めにお召し上がりください」の記載場所
よく目にする「直射日光及び高温多湿を避けて保存し、お早めにお召し上がりください」という表記は、一見親切に感じられますが、注意が必要です。
食品表示のルール上、一括表示の「保存方法」の枠内には、あくまで「開封前の保存ルール」を記載することになっています。
そのため、「お早めに」といった開封後の品質維持に関するメッセージを添えたい場合は、一括表示の枠外に記載するようにしましょう。
期限表示の場所
期限表示の場所は、原則「一括表示の枠内に記載」することになっています。
ただし、印字機の都合等で枠外(袋の端や底面など)に記載する場合は、「どこに書いてあるか」を具体的に誘導する記載が必要です。単に「枠外に記載」「別途記載」とするのではなく、以下のように指定します。
例)「枠外下部に記載」・「キャップに記載」等
また、「期限は枠外に記載」と書いてあるにもかかわらず、印字を忘れてしまうミスが想定されますので注意しましょう。
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- 法令に基づいた名称の選定:商品名と「一般的な名称」が正しく使い分けられているか
- 添加物の明確な区分:スラッシュ(/)や改行を用いて、原材料と添加物が分かりやすく区別されているか
- アレルゲン情報の網羅:くるみの義務化や「乳成分」の表記ルールなど、最新の情報が反映されているか
- 保存方法と期限表示の整理:枠内に記載すべき具体的な条件と、枠外に記載すべき補足事項が適切に整理されているか
ラベル診断のイメージ

法改正に伴う変更点や表記の細かなルールが正しく反映されているか、第三者の視点でチェックを受けることは、意図しないミスを防ぐ有効な手段です。
ラベル作成や表記方法に少しでも不安を感じている方は、この機会にぜひご活用ください。
まとめ:まずは「食品表示」への意識を持つことから
食品表示は、お客様の安全確保と事業者の信頼維持の両面に関わる重要な取り組みです。
- 自社の販売形態がどういった表示義務に該当するかを正しく理解する
- 名称・原材料・アレルゲン・期限などのルールを最新の状態にアップデートする
- 迷ったときは「無料ラベル診断」などのサービスを活用
上記を徹底することで、食品を扱う事業者としてのコンプライアンスを強固にできます。まずは、お手元のラベルと最新のガイドラインを見比べることから始めてみてください。正しい表示は、お客様に選ばれる「安心な店」としての第一歩になるでしょう。
