愛されて30年
Column
このコーナーでは、マックス株式会社の「安全表示・人づくりコンテスト」に参加した企業の取り組みを通じて、安全表示が職場の安全に果たす役割などをご紹介してきました。2018年から始まったこのコンテストも、2022年には第5回目を迎え、多くの優秀な作品が集まるようになりました。そこで今回は特別企画として、コンテストの名付け親であり、第1回から毎年選考投票にも参加されている中央労働災害防止協会の笹尾健臣上席専門役に、コンテストの趣旨や効果、評価のポイントなどについてお話を伺いました。
※お話はオンラインで伺いました。
中央労働災害防止協会
教育ゼロ災推進部上席門役笹尾 健臣氏
まず、再確認しておきたいのは、この活動の趣旨は、ただ安全表示を作って貼るだけではなく、職場のどこが危険なのかを皆で真剣に話し合い、仲間を守るためにはどんな表示がいいかとお互いに考えることによって人づくり、チームづくりを目指す、という点にあることです。これは私ども中災防が取り組んでいるゼロ災害全員参加運動の基本理念や目的に合致するものです。その意味で、最初の頃はこの趣旨への理解が深まっておらず、単なる安全表示の延長線上にある作品が多かったので、選ぶのが容易だったのですが、今回は趣旨を理解した上で考え抜いたのだろうと思われる作品が多く集まり、選ぶのに苦労しました。それだけレベルアップしてきたのだと思います。
私が作品を選ぶポイントは、趣旨に沿ったもの、仲間の命を守れるもの、他社の参考になるもの、の3点です。その意味で株式会社デンソーの作品は、ひと目で分かるよう色だけで判断できる表示になっている点を評価しました。危険であることをぱっと見て判断できることは災害防止に効果があります。一人のアイデアだけでなく、皆で考え抜いて、仲間の身を守ろうと工夫している良い取り組みだと思います。
応募者からひとこと
台車のストッパーかけ忘れによる落下防止のための表示。信号と同様、赤はストッパー解除中のため走行不可。青はストッパーがかかっているので走行可とした。今回の表示作成をきっかけに、職場のコミュニケーションを深め、現場の声を聞き、アイデアを出し合いながら、安全・安心な作業の一助になれるよう表示を活用していきたい。
次に注目したのは日本サーファクタント工業株式会社のQRコードによる予備品の管理です。これはまさにデジタル時代の新しい安全表示だと思いますし、リーダーの写真を表示してあるのもユニークです。顔写真を掲示することでいい意味での緊張感が生まれます。これからはスマホやタブレットの普及などにつれて、安全表示においてもさらに柔軟で新しい発想が生まれてくるでしょう。
応募者からひとこと
予備品を持ち出す時に、職場と予備品のQRコードで、どの職場が、いつ、何を、いくつ、持ち出したかが分かるようにQRコードで管理した。職場QRコード表に、各職場の5Sリーダー写真を掲載してイメージを刷新。QR管理により、出庫管理や入力遅延防止ができ、誰もが、容易に、間違いなく、在庫管理も明瞭となった。
他社の参考になるという点では、トヨタ車体精工株式会社の「止めて・呼んで・待つ」という注意喚起表示が優れていました。注意喚起は大きく掲示することが多いのですが、設備ごとに情報をコンパクトにまとめることで、目の前にいる作業者にターゲットを絞っています。これは自由なサイズが作れるビーポップのメリットを生かした作品だと言えます。
応募者からひとこと
外国人労働者が増加傾向にあり、異常発生時の基本ルールがなかなか伝わらないため、自分で対処しないよう、異常時には『止めて・呼んで・待つ』を日本語と翻訳を文字・絵で表示した。設備ごとに、目に付きやすい正面に掲示している。
その他、三菱マテリアル電子化成株式会社の「休業災害発生場所」という掲示も優れています。どの事業場でも労働災害が発生した直後は対策が徹底されますが、いつしか風化してしまい、後に同様の災害が発生するということがあります。そうならないために、二度と労働災害を起こさないと誓いあった場所への安全表示はとても効果のある取り組みです。同様の表示もあるのですが、現場の写真と発生日時、被害状況や再発防止対策も記載するなど、注目されるように、よく見えるように工夫している点を評価しました。
毎回、コンテストのたびに「こんな工夫があるのか!」という気付きがありますので、やはり継続することがなにより大事だと思います。そして受賞作を見ることで、取り組みのやり方やアウトプットの仕方を自分たちの活動のさらなるレベルアップにつなげ、「この作品を参考にしてブラッシュアップしてこれを作った」という作品が生まれるような、進化し続ける活動になってほしいですね。
その意味で、コンテスト後の表彰式・交流会は他社の取り組みを知り、参考にする絶好の機会だと思います。今回の交流会は「安全衛生のひろば」読者の方もWEBで参加できるそうなので、ぜひ多くの方が参加され、活発な情報共有と意見交換ができることを期待しています。
マックス株式会社の安全表示プリンタ「Bepop(ビーポップ)」で作成した安全表示のコンテスト。安全表示を職場の皆で考え、工夫して作成する「職場自主活動」を通じ、現場で働く従業員の安全意識の向上(人づくり)につなげることを目的に毎年開催。一般投票により入賞作品を選考。
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