愛されて30年
Column
歩行中の携帯電話使用禁止を訴える看板
来客、従業員全てに守って欲しいルールの一つだが、表示の本質をきちんと理解させるためにフォーマットの見直しが必要だった。
英語表記も含め、一目でわかるような安全表示を考案した。文言は来客に対しても伝えたいことから柔らかい表現にして明確化。イラストもオリジナルを作成し、見やすくして理解度の向上につなげている。
滋賀県草津市にあるダイキン工業(株)の滋賀製作所では、ルームエアコンを始めとした住宅用・汎用空調機や給湯器の開発・設計・製造などを行っています。同製作所では現在、「世代別に健康経営の視点で安全と衛生のレベルを向上し備える」運動に取り組んでいます。中でも安全表示を見直す活動は、現場の作業者に一番近い監督者であるチーフ43人で構成される「チーフ会」によって自主的に運営され、「人づくりコンテスト」へも第1回から積極的に参加しています。
そこで今回は、同製作所のみなさんと製造部長の小倉博敏さんに安全表示の役割と、今後の取り組みなどについてお話を伺いました。
同製作所では、安全衛生活動への取り組みを現場レベルで行うため、月に一度のチーフ会で自主的に協議を重ねています。「リスクアセスメントを実施することで、機械的な災害を減少させることはできますが、人間の不安全行動による災害防止が課題でした。そこで、言われたからやる、ではなく、提案から改善につなげる活動へ変革するために、現場に一番近いチーフたちに意見を出し合ってもらうことで自発的な動きを期待したのです」と安全衛生担当課長の久保田さん。その言葉通り、チーフ会では安全表示が統一されていないことに着目、まずは誰でもひと目で分かるような表示に統一しよう、という流れがでてきました。「最初は一旦停止の表示を見直すことから始めました。チーフ会の中では取り組みに対する個々人の温度差があったのですが、自分たちが考えて作った安全表示が仲間を守ると気付いたメンバーが本気になって取り組むことで、他のメンバーのモチベーションも上がり、意見を集約することができました」とチーフ会リーダーの池見さんは語ります。こうして最初に標準化されたのが、通路に貼る一旦停止の表示でした。「貼っておしまいというのではなく、その後もチーフ会で議論する中で、不適切な場所や過剰に貼っているケースも見受けられましたので、どうすれば安全に寄与できる表示になるのかを検討しながら、表示のルールを明文化するなど、常にブラッシュアップしています」と池見さん。
チーフ会で考案した一旦停止の安全表示。同製造部では技能実習生を含めて5カ国の外国人労働者が働いているため、ひと目で分かるピクトグラムと複数の言語で村主事項を表示した。外国人労働者の意見も聞くことでコミュニケーションも深まった。
フォークリフトと人間が交差する通路では、床への表示ではなくポールを使用して安全表示を行い、より視認性を高めている。
また、安全表示は究極的には「なくなる」ことが理想だと製造部安全担当の山口さんは言います。「安全表示は掲示することが目的ではなく、その本質が人の行動に現れることが目的です。絶対に行ってはいけない危険な行為は安全表示が必要ですが、それ以外の注意事項などは、習慣化してしまえば安全表示がなくても自然に行動することができるはずです」と山口さん。同製造部ではこうした理念の下、現在17種類の安全表示を標準化し、さらに見直しを進めていこうとしています。
「安全衛生の基本は初期の段階、仕事の出発側でおかしいと気付けるかどうかだと思います。順調に進んでいる時こそ『健全な危機感』が求められます。その意味で安全表示の見直しは、現場と安全衛生事務局とを横断的に巻き込むいい刺激になりました。これからも安全文化の醸成に寄与してくれると期待しています」と小倉さん。
安全表示の見直しが、同製造部の自主的な取り組みのきっかけになっていることがよく分かるお話でした。
ダイキン工業(株)滋賀製作所のみなさん
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