MAX engineered for performance

木のホッチキス誕生ストーリー02

熟練の木工作家が
1点1点の作品を通して
木の魅力を表現する
インテリア雑貨店「kochi」

kochi東 和俊さん

木の繊細な表情を生かした
デザインの木工作品を制作

kochi ショップ内の様子

日本屈指の木工技術を持つ飛騨高山の魅力に惹かれて、生まれ育った新潟を離れてこの地で暮らすようになった東 和俊さん。家具メーカーで企画デザインに従事した後、独立して工房とショップを運営するようになり、10年ほど前から現在の場所に移り、木工作家として作品を生み出しながら「kochi」を運営している。

「kochi」では元々輸入材を使っていたが、「木と暮らしの制作所」から提案を受けて、飛騨高山の広葉樹の端材を使った作品づくりに取り組むことに。綺麗に製材された輸入材に比べ、状態の良い箇所を木取りして制作することは手間のかかる作業だったものの、木の繊細な表情が表現された作品が生み出された。

2023年2月に東京で開催されたギフトショーでマックスの担当者と出会った東さん。地域の森林資源を生かして「木のホッチキス」を作っていきたいという企画意図に共鳴し、「木と暮らしの制作所」との共同作業に取り組むことになった。

kochi 2023ギフトショーの様子

9台の木工用機械を駆使して
「端材」に命を吹き込む

「kochi」店内の奥にある工房。15台の木工用機械が並ぶ作業場が制作の舞台となる。「木と暮らしの制作所」から届いたヤマザクラ、ブナ、栗、クルミの4種類の広葉樹の端材からどのようにして「木のホッチキス」が生み出されていくのか、制作工程を見せてもらった。

まずは端材の外側の「耳」部分をハンディチェーンソーでカット。手押しカンナで側面を削って端材の平面を出してから、幅に合わせて5本の棒状に割っていく。さらに、棒状の板にもう一度手押しカンナをかけて、平面を綺麗に出していく。

次に、板の厚みを揃える工程へ。電動やすりがけ機に通してペーパーで磨き上げ、スケールで正確に厚みを確認。これでようやくホッチキスの上下のカバーとなる板材の準備が完了する。

今度は板材をホッチキスカバーの寸法に合わせてカットしていく工程に。「端材の状態から割れや腐りを避けながら木取りをしていくんですが、この段階が一番気を使う作業になります」と、東さん。どうすれば木本来の美しい表情を引き出せるか、仕上がりをイメージしながら一つひとつの工程が進んでいくことになる。

熟練の技術で細部に徹底して
こだわったデザインを実現

短くカットされた板材には、ホッチキス素体とぴったりと組み合わせられるように、素体の出っ張り部分を収める穴開け作業が施される。本来は木材部品を接合するほぞ継ぎの穴を開ける機械を応用して使用している。

ここからは、さらに木工作家の繊細な感覚が発揮される場面に。穴開けされた板材の角が立ったままでは使う人が握ったときに当たってしまうので、角に丸みをつける作業が行われる。慎重な手つきで1本1本の角にアール型のデザインが加えられていくことに。

「木と暮らしの制作所」の松原さんは「kochi」の作品に初めて出会ったとき、手間をかけることを厭わずに細部にこだわったデザインが施されていることに魅力を感じたという。
「木のホッチキス」にはそうした東さんのものづくりへのこだわりが随所に発揮されている。

アールを取った後は、素体と組み合わせるためにカバー部分に「抉り」を入れる工程に。棒状の板材が機械で削られ、ホッチキスカバーの形状に仕上がっていく。その後は、細かい番手のサンドペーパーで手磨きを行うなどして角を落として滑らかさを出し、完成形に近づいていく。

「木のホッチキス」制作には9台の木工機械を使用し、20程度の作業工程を経ることに。
端材の板がさまざまな工程を経て美しく形状を変化させていく過程には、職人の細やかな技術が随所に盛り込まれているのだ。

「制作作業は、素材である端材の塊からホッチキスカバーを“削り出す”という感覚ですね」と、東さん。飛騨高山の広葉樹という素材の魅力を伝える役割を担った「木のホッチキス」には、その作り方に一番価値があると考えたという。

「木工作家として
一段上のステップに上がれました」

マックスとの出会いから1年4ヶ月。プロジェクトが本格的に稼働してからほぼ1年がかりの時間をかけて、販売開始となった「木のホッチキス」。マックスとのコラボレーションは東さんにとってどのような経験となったのだろうか。東さんにとってどのような経験となったのだろうか。

左からマックス高橋、木と暮らしの製作所 松原さん、Kochi 東さん、マックス石井

「木工作品の作り手として、一段階上のステップに上がれたという気がしています。勤務していた家具メーカーと比べてもはるかに厳しい品質基準をクリアできて、この経験は大きな財産として蓄積されると思います」

「木のホッチキス」の制作を終えた後も「木と暮らしの制作所」との共同制作は続けていくという。飛騨高山の広葉樹の魅力を生かした作品づくりは、この地域の森林を守る活動の一端を担ってくれるに違いない。

取材日:2024年6月6日
※kochiのshopはこちら

東 和俊さん

新潟県出身。木工デザインの道を目指して高校卒業後に飛騨高山へ。家具メーカーに勤務後、独立して工房を開き、妻の薫さんとともにインテリア雑貨店「kochi」を運営。ナチュラルな雰囲気の店内には木工作家として手がける木のインテリア雑貨や文具などの小物を中心に、陶磁器やガラス製品など若手作家の作品などが並ぶ。ギフトショーにも積極的に出展。作品は全国各地のインテリアショップや家具店などでも販売されている。

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もうひとつの誕生ストーリー

誕生ストーリー01

飛騨高山の広葉樹の魅力を発信する
「木と暮らしの制作所」

木のホッチキス

写真:該当製品の例
  • HD‐10X/WD ブナ
  • HD‐10X/WD クルミ
  • HD‐10X/WD クリ
  • HD‐10X/WD ヤマザクラ
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